二胡のみならず、中国の民族楽器は大抵数字譜(中国では簡譜)を使う。

 数字譜?

 数字譜は五線譜で言うところのドレミファソラシを数字1234567で表す。他に音の長さを「-」や下線(1本だと8分音符、2本だと16分音符)、休符は0で表す。

 数字譜がどこで考案されたというのはあまり確定していないようであるが、有力な説としてヨーロッパで考案され日本に明治の頃入ってきた。それが中国に渡ったというもの。昔の日本の音楽の本は数字譜だったらしいし、今でもハーモニカや大正琴などは数字譜を使っている。

 ここまできて五線譜が読める人なら疑問に思うはず。C(ハ長調)以外の調はどうやって表現するの?と。そこで登場するのが固定ドと移動ドの考え方。五線譜は固定ド。数字譜は1(ド)の音をどこに持ってくるかで調が変わる。なので移動ド。二胡のテキストの頭には、1=Dとか1=Fの表記がある。その調の中でのドレミ(123)ということになる。

 二胡のように一つの音しか出ない楽器には見やすい楽譜だと思う。唱歌なんかもパッと見て歌いやすいだろうと思う。しかしピアノだと縦に数字が並んで見にくいだろうな。私は見たことないけど、あるらしいです。

 しかし私は数字譜が苦手。なぜなら、先生が言う「ドドミファソーファ♯ソソ」と言うのは「ララド♯レミーレ♯ミミ」としか聞こえないから。聞こえないのにそれを強要されても~な気持ち。今の先生は配慮して固定ドで指定してくださったりするけど、中国の先生たちは大抵移動ドなので、「ドドミファ」と言われると一瞬どこかわからなくなって混乱する。おそらくもう移動ドの頭にはならないだろう。若くからやってれば、脳の中に固定ドと移動ドの二つを持つことができたかもしれないが。

 数字譜で得したこと。家の給湯を新しくして、お風呂が沸いた時に音楽が鳴るようになった。その曲が聞いたことあるけど何だったか思い出せなくて、Twitterで数字譜で「543-517-521-3-」と書いたら、それを読んだ二胡奏者さんが「◯◯」と教えてくれて、ああそうだ!と思い出した。知らない人が見たら、何の暗号?である。

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